監修医師
オルビクリア監修にあたって
従来の矯正手法に対する“懸念”と“限界”
私がこのマウスピース矯正装置の監修に携わるに至った背景には、従来の矯正手法に対する懸念と限界を感じていたことがありました。
以前までは、顔写真やCT画像を基に歯の移動を計画する際には、人間の目による手作業が主流でした。
しかし、その過程で生じるヒューマンエラーや解釈の違いにより、治療計画の精度や効率性に不安を感じていました。
そこで、新たなソフトウェアの導入により、顔写真と歯の模型とを視覚的に重ね合わせることで、より正確な治療計画を立案できるようになりました。
さらに、CT画像を活用して歯の移動量や移動方向を視覚的に計画することで、精度の向上と作業の効率化を実現しました。
これにより、患者様に対してより安全で効果的な矯正治療を提供できます。
ドクターの直接管理が可能
さらに、外部機関を介さずにドクターの計画が直接反映されることが可能な点も、オルビクリアの特筆すべき特徴です。
従来の矯正装置は外部機関に計画を伝達し、その解釈や伝達ミスによって、理想的なマウスピースの製作に多くのやり取りと時間が必要でした。
外部機関を介して医院に送られてくるマウスピースを「デリバリーアライナー」と言われるのに対し、オルビクリアは「インハウスアライナー」として分類され、自院の3Dプリンターでドクターの計画を直接製作するため、その計画がそのままマウスピースに反映されます。
このアプローチにより、矯正計画のフィードバックを迅速かつ正確に得ることが可能となり、医院内でのノウハウの蓄積や改善が容易になります。
その結果、時間の経過と共により優れたマウスピースが提供され、患者様の満足度の向上が期待できます。
効果を最大限に発揮できる歯列矯正
また、デリバリーアライナーと比較して、インハウスアライナーの最大の利点は、マウスピースのフィット感と矯正効果の維持にあります。
デリバリーアライナーは外部機関から送られてくるため、最初から最後までの全てのアライナーが一度に医院に送られてきます。
しかし、歯の移動は予測通りに進むことはまれであり、アライナーが進んでいくにつれてフィット感が悪くなることがよくあります。
その結果、矯正効果が低下してしまうことも少なくありません。
一方、インハウスアライナーは自院で作成されるため、常に最適なフィット感を提供し、矯正効果を最大限に保持できます。
さらに、形状記憶の素材を使用することで、マウスピースを使用するたびに矯正効果が向上していくという特性も持っています。
このような特長から、私はこの次世代のマウスピース矯正を「オルビクリア(OrbitClear)」と名付けました。
これは、惑星が常に同じ軌道を回り続けるように、矯正効果が一貫して高い状態を維持し、必要に応じて軌道修正が容易であることを象徴しています。
日本の矯正治療の改革に向けて
将来の展望についてお話ししますと、現在日本ではワイヤー矯正がアライナー矯正よりも優れているという見方が一般的です。
海外ではアライナー矯正が急速に普及しており、日本の矯正の学会でもその優位性が認められつつあります。
さらに、海外ではインハウスアライナーが主流となりつつあり、形状記憶のアライナーも増えています。
日本の矯正治療は海外から5〜10年遅れていますが、オルビクリアをはじめとする記憶形状のインハウスアライナーは、将来的に日本の主流となると確信しています。
私たちは、この新技術を通じて日本の矯正治療の未来を切り開くことに大きな喜びと期待を感じています。
早く皆様にこの革新的な治療法を提供し、より良い歯科矯正の未来に貢献することを心から願っています。
経歴
2013年 大阪大学歯学部 卒業
2013年 医療法人星真会
アモウデンタルクリニック 勤務
2016年 医療法人恵翔会なかやま歯科 勤務
2022年 谷町六丁目しちご歯科・矯正歯科院長